SONG AND DANCE MAN

 1989年9月に出版された絵本です。著者はKAREN ACKERMAN,イラストはSTEPHEN GAMMELL。1989年に優秀な絵本に贈られるCALDECOTT MEDALを受賞しています。本といっしょにカセットテープが付いていました。女性のナレーションと音楽が収録されていて、本を見ながら聞くことができます。おじいちゃんが踊るシーンではちゃんとタップのステップの音が入ります。昔ボードビルでソングアンドダンスマンだったおじいちゃんが屋根裏部屋へいって3人の孫だちに若い頃の芸を見せるというほのぼのとしたお話です。いつか舞台化してみたいです。

 おじいちゃんは昔ボードビルの舞台で踊るソングアンドダンスマンでした。僕たちがおじいちゃんちを訪ねた時、人々がテレビを見る前の時代、古き良き時代、おじいちゃんが歌って踊っていた時代の事を話してくれました。「あと一時間で夕飯よ」台所からおばあちゃんの声がしました。「わしのタップシューズまだはけるじゃろうか?」とおじいちゃんはニコニコしながらいいました。そして屋根裏部屋の電気のスイッチを入れて、僕たちはおじいちゃんの後をついて急な木の階段を登っていきました。壁にはおじいちゃんの若い頃の色褪せたポスターが貼ってありました。おじいちゃんが段ボール箱を移動しておばあちゃんの冬服がかかっているラックをどけると隅にホコリまみれの茶色い革のカバンがあらわれました。おじいちゃんがそのトランクを開けると、すぐに防腐剤と古い物のにおいが屋根裏部屋中に広がりました。その中にはつま先とかかとに銀の半月形の金具が付いた靴、山高帽、トップハット、ストライプのベストとお揃いの蝶ネクタイが入っていました。僕たちは帽子をかぶると,まるで音楽に合わせて頭を振っているピアニストが演奏していて、明るいライトが輝くボードビルのステージで踊っているつもりになってはしゃいでいました。シャミ−という布で靴を磨くと、おじいちゃんはそれを履いた。足にできたタコをつぶさないように、靴の中に白いパットを詰めていた。そしてランプの傘を傾けてスポットライトにしました。おじいちゃんは床に粉をまくと、さあショータイムの始まりです。僕たちはおばあちゃんの毛布に座って手をたたいて「イェ〜イ、おじいちゃ〜ん!」とはやしたてた。ソングアンドダンスマンは懐かしいソフトシューを踊り出した。おじいちゃんの足は最初ゆっくり動きだした。まるでブリキの屋根をたたく雨の音のようなソフトな音がした。僕たちはおじいちゃんが踊っていることをすっかり忘れていた。僕たちに聞こえるのは2本の足から奏でられるタップの音、僕たちに見えるのはボードビルのステージを滑るように踊るソングアンドダンスマンの姿であった。彼は「さあごらん!」と言ってキツツキが木をたたいているような新しいステップを踏み始めた。突然彼の靴が早く動きだして歌いだしました。彼の声は谷間のこだまのごとく丸くて力強くて、昔懐かしい「ヤンキードゥードゥルボーイ」を歌い始めると、ほっぺたがピンク色になってきました。すごく沢山のステップと歌の歌詞があって、僕たちはとても覚えきれませんでしたが、テレビをみるよりはるかに楽しいものでした。ソングアンドダンスマンは前に傾きウインクをして言いました「耳になにかあるぞ!」そう言うと僕たちの耳から銀貨を出しました。彼は山高帽を腕の上で転がして見せ、それを手で受け止めて弾き返して頭にかぶせました。「象の浮かせ方(float,フロート)をしってるかい?」と彼は言った。「一杯のアイスクリームと、2杯ぶんのソーダと、3杯ぶんの象で完成!」前にもそのジョークは聞いたことがありますが、ソングアンドダンスマンは膝をたたいて涙を流すまで笑っていた。彼はベストのポケットから赤いハンカチーフを取り出して涙を拭こうとしました。ところが引っ張っても引っ張てもハンカチーフがどんどん伸びていきました。彼が驚いた表情をするので、屋根裏部屋が揺れているように感じるほど僕たちは笑い転げました。僕たちはあまりにも笑いすぎたので、ヒャックリが止まらなくなりました。おじいちゃんは演技を中断して洗面所から水を持ってきてくれました。「ゆっくり飲んで息を止めるんだよ」と言いました。「それがダメならおどかしてやらなきゃならないかなあ!」僕たちのヒャックリが止まると、彼は金の冠の付いたステッキとシルクのトップハットをトランクから取り出しました。彼は目線を下げてトップハットをかぶり、きちんと立ちました。明かりが暗くなって、彼の磨きがかかったタップシューズだけが明るく照らされていました。いよいよグランドフィナーレです。ソングアンドダンスマンは深く息を吸いました。彼はステッキを両手で上に掲げました。ゆっくりとタップを踏み始めました。彼の靴はだんだん早く動きだし、とても2本の足から奏でられていると思えないほど沢山の音がしました。彼は中を飛び跳ねてくるっとまわりました。そして着地と同時に膝をついて手を横に広げ、シルクのトップハットとステッキを横に置き、彼の靴はピッと止まりました。そしてショーは終わりました。僕たちは立ち上がって手をたたいて「イェ〜イ!もっと〜」と叫んでいた。だけどおじいちゃんはハ〜ハ〜いいながら、ただ笑顔で頭を横に振っていた。おじいちゃんはタップシューズをぬいで、きちんと布に包んでトランクの中にしまった。そしてベストも丁寧にたたんで、その上にトップハットとステッキを置いた。そしておじいちゃんの後について階段を降りていった。おじいちゃんは手すりにつかまって階段を降りていった。そしておじいちゃんは僕たちを抱きしめてくれました。そして僕たちはおじいちゃんが若い頃の踊っている姿を見てみたかったと話しました。おじいちゃんは笑顔で僕たちにささやきました「たとえ昔の若い頃の楽しい日々と交換できても、わしゃお前たちといっしょにいる今のが大切なんじゃよ」屋根裏部屋の明かりをけして階段を見上げている時、おじいちゃんがソングアンドダンスマンとしてボードビルで踊っていた頃がどんなにか恋しいかわかりました。


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